経営哲学・知の実験室|”銀座スコーレ”上野テントウシャ

2次プロセス

【 英語表記/読み方 】

Secondary Process/にじぷろせす

【 定義(Definition) 】

【 定義 】

(Definition)

自己意識の表層(一次プロセス)を超えて存在する、未同一化・潜在的な情報やパターンの領域。

意識的な選択や組織のコンセンサス(1次プロセス)の外側に現れ、自己やシステムが無意識に排除・拒絶しようとする、変容に不可欠なエネルギーや情報。

【 説明(Description) 】

【 説明 】

(Description)

2次プロセスとは、私たちが普段「自分」として認識している一次プロセス(明確に自覚されている思考・行動)を超えて、無意識・潜在層にある声や感覚、シグナルを含む領域である。

私たちは、「こうあるべき」という無自覚の前提に基づいて、意識的な選択や行動の領域(1次プロセス)を形作っている。
しかし、その領域を越えて根本的に成長しようとすると、痛みや違和感、抵抗、あるいは未熟な自分といった形で、2次プロセスが表面化する。

アーノルド・ミンデルのプロセス指向心理学(プロセスワーク)では、この領域を尊重し、そこから現れるメッセージや葛藤、身体感覚を探求の素材とする。
二次プロセスは、選択や痛み、葛藤の“深層の地形”を映し出す鏡として機能し、自己変容や意味の再定義への道を開く。

この表面化したエネルギーを排除するのではなく、意識的に観測し、自己全体の一部として受け入れることで、私たちの構造(OS)の根本的なアップデートが促される。
こうした探求を通じて、自己理解は単なる思考レベルを超え、身体・関係・社会構造との対話へと広がる。

【 構造的特徴(Structural Characteristics) 】

【 構造的特徴 】

(Structural Characteristics)

  • 一次プロセスと二次プロセスの分化:一次プロセスは自己として同一化している層で、維持・安定を目的とする。
    二次プロセスは未同一化、潜在的・深層的なプロセスであり、破壊・変容のベクトルを持つ。
    この対比が、自己やシステムを変革の臨界点(ケオディックパス)へ導く。

  • エッジ(Edge):一次と二次の間の“縁(エッジ)”は、自己変容や成長の重要な場である。
    二次プロセスに触れることは、過去の自分を許し、未熟な自分を受け入れることを意味し、自己変容の痛みを伴う。
    この痛みが、新たな選択の地形を生み出す契機となる。

  • 多次元チャンネル:プロセスワークでは身体チャネル(身体感覚)、対人チャネル(関係性)、世界チャネル(大きな社会・集合体)などを通じて二次プロセスのメッセージを受け取る。
    このメッセージは、違和感や抵抗として現れることで、現状の構造への無自覚な適合を解除し、より本質的な応答を強制する。

  • 弁証法的プロセス:一次プロセス(現在自覚されている自己)と二次プロセス(未自覚・潜在領域)は相互に作用する。
    対話と統合を通じて全体性へと変容し、個人・組織・社会の構造更新へとつながる。

【 比喩(Metaphor) 】

【 比喩 】

(Metaphor)

自己の裏側にある鏡/システムのエラーメッセージ/成長痛/自己の地層の隆起/深い海の潮流/鏡の裏側の世界/潜在の泉/重力の裏返し

【 用例・文脈(Usage / Context) 】

【 用例・文脈 】

(Usage / Context)

  • 〔社会〕
    組織や集団では、表面的な論理や行動(一次プロセス)とともに、集団の深層に隠れた感情・葛藤(2次プロセス)が作用する。
    コンフリクト(対立)はしばしば、二次プロセスからの抑圧された声の表出として現れる。
    社会の常識、主流なメディアの言説、制度的な不文律(一次プロセス)に対して、ストリートアート、過激な運動、革新的なテクノロジーの逸脱といった形で二次プロセスのエネルギーが立ち現れる。
    これらは、社会全体の無自覚の前提を揺るがし、既存の支配構造への疑問を投げかける。
    社会変革を促すには、ただ制度を変えるだけでなく、集合的な二次プロセスに働きかけ、深層情報を顕在化させることが鍵になる。
    二次プロセスは、社会が過去の遺産としての価値観を手放し、より十全な新しい構造への応答を促すための、時代的な兆候としても機能する。

  • 〔組織〕
    組織文化の刷新やリーダーシップ開発において、浅い問題(効率や成果)だけでなく、メンバーの無自覚なパターン(恐れ、信念、抑圧された役割)に注目する。
    ワークショップや対話セッションの中で、参加者が “夢・身体・関係性のチャネル” を介して自己の深層からくるメッセージを探る。
    既存の成功体験や慣習(一次プロセス)が機能しなくなった状況下で、メンバーの突然の退職、予期せぬ衝突、形式化された会議でのカオスといった形で二次プロセスが現れる。
    これらを単なるマネジメント上の問題や障害として排除するのではなく、組織の免疫系が防衛している、次の時代に必要な情報として観測することが重要である。
    その結果として、組織の「暗黙の構造(文化・ルール)」が浮き上がり、新しい集合的なアイデンティティーを組み替えるための痛みを伴うが、不可欠なステップである。

  • 〔家庭・個人〕
    個人の痛み、繰り返すパターン、夢や身体症状は、二次プロセスのシグナルとして読むことができる。
    理由のわからない焦燥感や体調不良、特定の状況下で繰り返される人間関係のパターン(既視感)といった形で現れることもある。
    これらは、意識的な自己(一次プロセス)が無視してきた本当に必要な情報や、純度の高い欲求の現れである。
    自己探求やセッションを通じて、インナーチャイルドや影として働く要素が明らかになり、対話・統合が進む。
    この二次プロセスを観測することで、自己の深い部分にある地層を掘り起こし、過去の自己の枠組みに縛られない新しいアイデンティティーを組み替え、より豊かな自己応答を見いだせる。

【 関連語(Related Terms) 】

【 関連語 】

(Related Terms)

1次プロセス/エッジ/ドリームボディ/プロセス指向心理学/集合的プロセス/精神の免疫系/無自覚の前提

【 引用または出典(References) 】

【 引用または出典 】

(References)

アーノルド・ミンデル『プロセス指向心理学』 /

アーノルド・ミンデル『プロセスマインド:プロセスワークのホリスティック & 多次元的アプローチ』/富士見ユキオ 他「〈身〉の医療」叢書:プロセス構造、一次・二次プロセスの定義/カール・グスタフ・ユング『タイプ論』

【 備考(Note) 】

【 備考 】

(Note)

2025/11/20 初版(自己変容と構造アップデート)

2025/11/21 採用版(コラム文脈反映、構造特徴強化)

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